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矢作弘:大型店とまちづくり,岩波新書,2005
前段,次のような考え方が紹介される。 「以前,産業構造審議会流通部会・中小企業政策審議会流通小委員会合同部会の場で,大店法廃止をめぐって規制緩和派の経済学者が「中小店舗と大型店が自由に競争し,大型店だけになっても――事実はそうはならないと思うが――そうなるのは消費者が支持したためであり,仕方がない」という議論を展開したことがある」。 このコメントは,何も「規制緩和派の経済学者」でなくとも,あるいは中小店舗保護の立場であったとしても,そうかもしれないと思うだけの理屈は一応通っている。しかし著者によれば,このような考え方の誤りには,「もはや議論の余地はない」。そして大型店の進出によって「地域社会が負担してきた社会的コストはきわめて大きい」。本書は,その根拠を示すものであり,上記のコメントに対する反論の書と言ってよい。 More
岩田正美:現代の貧困,ちくま新書,2007
我が国で貧困研究が進まないのはなぜか。理由はいくつかある。貧困は過去のものであり,現代的課題ではなくなったという認識,貧困は今も残るが現代の中心的な問題ではないという認識,貧困は今なお深刻な問題であるが,その他の社会問題とは独立した課題であるという認識。これらが貧困へのまなざしを阻害しているように思われる。著者によれば,貧困とは「あってはならない」生活状態のことである。すなわち相対的な貧しさに加えて,絶対的な貧しさが指標とされる。 More
富永健一:社会変動の中の福祉国家,中公新書,2001
福祉の担い手は誰か。著者の見立ては明快である。「家族・組織・市場・地域社会(・・・)・国民国家という近代産業社会の五つの機能的要素は,どれもそれぞれに人間の福祉の実現という機能を担っているが,そのうち最も基本的な福祉の担い手は家族であり,つぎに重要な福祉の担い手は国家であり,地域社会は両者をつなぐ役目を果たしている」。(p.49) More
広井良典:定常型社会,岩波新書,2001
J.S.ミルが提示した「定常状態」というアイデアを,経済だけでなく,福祉や環境を含めた日本の向かうべき将来像を描くためのコンセプトとして捉えなおしている。著者のねらいは,従来同時に語られることの少なかった「社会保障」と「環境政策」を統合することにあり,そのキーは「コミュニティ」に求められる。 More
伊東光晴:現代に生きるケインズ,岩波新書,2006
経済学に関しては,大学の一般教養でさえ避けてきたし,これまで一度も誰かから学んだことはない。けれども,この『現代に生きるケインズ』も含めて一般読者向けに書かれた本を読むたびに,実に腑に落ちるというか我が意を得たりというか,体系的に理解しているとはとても思えないのに,そう感じる場面がしばしばある。 More
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